生成AIを使った個人ブログ作成と、アウトプット型学習について思うこと

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生成AIを使ったライティングについては、各所で賛否が出ているように感じます。個人的な感想としては、「コンテンツを作ろうとした目的を達成できるなら、どんどん使えばいい」と思っています。ただ、「コンテンツを作る目的ってなんだろう?」という部分がずっとあやふやな感じがしていたので、頭の中を整理するために記事として書き出してみました。

「学びのためのアウトプット」に、生成AIは有効か?

コンテンツマーケティング的なユースケースについては、もっと適切な意見を持つ人がいると思います。10年間で1000記事を個人ブログで作成したというバックグラウンドを踏まえると、どちらかというと「学びのためのアウトプット、個人のブログにおける生成AI活用」に絞って考えてみたいと思います。

直感的には、「生成AIに書かせた記事に学びも何もないだろう」と思います。実際、1から10まで生成AIに記事を書かせてみたところで、半分寝ながら授業に参加したときと同じくらいの学びしか得られないでしょう。ただ不思議なのは、 Claude や Cursor を使い込めば使うほど、「学びのサイクルの中に生成AIが結構存在してきているな」と感じることが増えてきています。

生成 AI は暗黙知の表出化に利用できる

人間誰しも、「言葉にするのは難しいけど、なんとなく自分の中で確信が持てていること」を持っています。勘とか経験知・年の功とか言われるやつですが、新しいものごとを学んだときにも「これ、どっかで聞いたことのあるやつに似てるんだよなぁ」とか「なんかわかった気がするけど、何をわかったかが整理できない」みたいな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。

最近学びのサイクルに入り込んできている生成AIは、どうもこの手の「言語化できないモヤモヤ」を半強制的に言語化させる役割を担っているような気がしています。そしてちょっと調べてみたところ、どうやらこのような勘や経験知とよばれるものを言語化していくサイクルのことを、「SECIモデル」とよぶそうです。

SECIモデルで自分の学習サイクルにおける生成AIの役割を整理すると、「暗黙知の表出化」を支援していると言えそうです。「とりあえず作業内容やコマンドをメモしていくので、最後に整理してレポートにして」や「このドキュメントを読んでる最中だけど、なんかよくわからないから学習のアシストをお願い」、「さっきエラーを修正してくれたけど、結局何が問題でどんな解決をしたの?」など、わかっていること・わかってないことを自分の中で整理することにフォーカスすると、生成AIは言語化・表出化に慣れていない人にとって重要なサポートツールになります。

生成AIを信じすぎない

学習において重要なことは、「自分で考えて行動すること」だと考えています。そのため、生成AIの活用はあくまでアシストや自分の拡張などに留める必要があります。より具体的に書くと、「彼らの発言を信じすぎるな」ということです。

生成AIのモデルがもつ知識の限界もそうですし、SaaS型のサービスはユーザーに迎合する回答を作りがちという意見もあります。自分と生成AIで完結する対話は、小さなエコーチェンバーになり得るリスクがあることを忘れてはいけません。

生成AIが出力された文章をちゃんとよみ、ときには書籍やウェブであなたが信頼できると思っているサイトなどを検索し、「本当にそうなのか?」と自問自答し続ける必要があります。不思議と面白いのが、こうやって少し疑心暗鬼気味になりながらも生成AIを活用していくと、好奇心がどんどん湧いていく瞬間があります

「あれ、XXってことはもしかしてYも関係あったりするのだろうか?ちょっと生成AIに下調べさせてから、ちゃんと考えてみよう」

こんな瞬間が訪れると、時間があっという間に過ぎ去っていきます。

メタ認知によって生成AIは増幅器にもエコーチェンバーにもなる

t-wadaさんが生成AIを利用した開発について言及する際、よく「AIはあくまで増幅器で、自分の能力に依存した性能になる」という引用や表現をされています。これはまさにそのとおりだと思っていて、生成AIに一部の作業を代替させる分、その時間で我々は何をやるべきかを問われるような世界が来ているのかなと思っています。

https://speakerdeck.com/twada/agentic-software-engineering-findy-2025-07-edition?slide=35

学習や個人ブログにおける生成AI活用も同じです。時間とコストをかけて作成した記事が「コタツ記事」とよばれるか、それとも有用な記事として引用や参照されるか。これは生成AIを使ったか否かではなく、「あなたが何を発信・伝えようとしたか」に依存します。そしてそれは、例えば「一次体験の有無」や「メタ認知能力の有無」などに左右されるのかもしれません。

自分で何かに挑戦・取り組んだ人が、その経験を整理・アウトプットする際のアシストとして生成AIを利用する。このケースでは、コンテンツの根底にあるのは、あくまであなたの挑戦した「一次体験」です。それがユニークであればあるほど、ニッチであろうともニーズのあるコンテンツとなる可能性は高まります。そしてアウトプットするための「暗黙知の表出化」というある種の練習やスキルが求められる領域は、生成AIが100%とはいかずとも「あなたの体験を記事にまとめたら、大体こうなるよ」という整理くらいはしてくれます。

また、もしSaaSやOSSのドキュメントを複数参照して整理する、コタツ記事になりやすいタイプのコンテンツを作るケースでも、生成AIが作成したコンテンツが他者からみてどう見えるかや、そこから自分はどんな学びを得られそうかなどのメタ認知に類する視点でレビューや校正作業ができるならば、それはきっと何かしらの価値を生み出すコンテンツになるだろうと思います。

NotebookLMにこの記事のベースとなる生成AIが作成した原稿を読ませたところ、このようなマトリクス図を生成しました。個人的には合っている側面もあるだろうなと思ったので、ここに共有します。「生成AIは増幅器」というのが悩ましく、「できる人はより使いこなし、使いこなせない人は伸びないまま」という現象が生まれる可能性が非常に高いので、格差は広がることになりそうです。

生成AIを学びにつかう、できなかったアウトプットの実現に使う

今の所、技術ブログにおいて生成AIは運転手ではなく副操縦士(Copilot)です。なぜなら技術ブログの目的として挙がる「技術的な学びの獲得」については、あくまで人間のためのものだからです。これは生成AIに渡せるものではないですし、渡してはいけないものの1つです。最終的な判断、責任、そして学習の主導権は、常に人間が握るべきでしょう。

しかし経験したことのアウトプット・整理に慣れていない、苦手と感じている人がそのハードルを乗り越えるために生成AIを利用することは歓迎すべきことでしょう。メガネが視力低下によるデメリットを埋めるように、その人が苦手とする領域をカバーし、本当にやりたいことを実現できるようにするためであれば、技術ブログやコンテンツ作成においても生成AIはどんどん使われていってほしいと思います。

大事なことは、「その記事はなんのために書くのか?」でしょう。記事の本数や生成AIを使うことそのものが目的になっていないか。ぜひ一度振り返ってみてください。

そして生成AIをブログ記事作成に使うか悩んでいる人は、まず「これまでアウトプットする機会がなかった」と思っているあなたの体験について、生成AIに共有してみてください。第三者に整理された文章やスライドで経験を読み返すと、思わぬ学びが見つかることもあるでしょう。

最後に・・・この記事は生成AI「も」使って書いています。どこにどうやって使われたかをぜひ考えてみてください。

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Hidetaka Okamoto profile photo

Hidetaka Okamoto

Developer Experience Engineer

Developer Experience Engineer。AWSやCloudflare上へのサーバーレスなアプリ開発を得意とする開発者。元Stripe Developer Advocate / AWS Samurai 2017など、サービスの使い方や活用Tipsを紹介するコンテンツ作成や登壇などを得意とする。

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