入社時の情報洪水を、会社が提供するAIサービスで乗り越える

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Chrome(最新版)のBuilt-in AIが必要です。

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CircleCI に転職してから間も無く半年です。長年続いているサービスなだけあって、サービスの機能や最近のアップデート、顧客事例に差別化ポイントなど覚えることが山のようにあります。Stripeの時は入社前からStripeについてある程度詳しかったのでどうにかなりましたが、今回はそうもいきません。

今回この情報洪水を乗り越えるのに使ったのが、生成AIです。生成 AI を「教師」として活用し、効率的にオンボーディングを進める方法を実践してみました。この記事では、その具体的なプロセスと、AI との適切な距離感について共有します。

生成 AI を教師として活用する

まず最初にやったのは、マネージャーやオンボーディングパートナーからの情報収集です。ここで聞くべきは技術的な詳細ではなく、むしろビジネス的な視点といえます。どこで差別化しているのか、どんなトークを顧客にすることが多いか、今注目している新機能は何か。これらの質問に対する答えとして、ドキュメントやリソースを共有してもらいます。加えて、Slack の重要なチャンネルや公式 Web サイトから関連情報を収集しました。

そして、これらすべてを会社で契約している NotebookLM に叩き込みます。

NotebookLM での資料整理と速読

NotebookLM に資料を読み込ませたら、スライド資料、レポート、インフォグラフィックなど、さまざまな形式で AI に情報を整理させます。

生成された資料は、それぞれ5分以内で一気に読みます。ポイントは、じっくり読まないことです。

こういうのをいっぱい作らせて、斜めに読む

じっくり読まないことにしたのは、ハルシネーションリスクを警戒したためです。内容が間違っているものを深く理解してしまうと、誤った知識で顧客と会話することになります。そして恐ろしいことに、入社直後の自分には、それを判断するナレッジがまだありません。そのため、「どうやらこういうものがあるらしい」という把握と「ならば自分で何を試すべきか、ドキュメントや1on1で確認すべきことは何か?」という仮説作成のみにAIを活用しました。

このステップで目指すのは「五里霧中状態の解消」です。完全な視界ではなく、足元とその周辺が見えるようになり、「次は何を調べるか、試すか」がわかる状態になればOKといえます。だから生成された資料は次々に使い捨てます。

NotebookLM の優れている点は、読み込んで気になったことがあれば、真ん中のチャットで質問できることです。とはいえ、これも基本的に「信用しても信頼しない」スタンスで接します。

会社のビジョンとメッセージを見逃さない

この際忘れないようにしたのは、会社のビジョンやメッセージに関する資料の捜索です。外資系SaaSでは間違いなく存在しますし、最近のスタートアップも社内向けで作られたものがあるはずです。

これらは会社の重要なメッセージですし、プロダクトの方向性などに影響を与えるものです。「なぜこんな機能が出たのか?」のようなナラティブやストーリーにつながるので、必ず NotebookLM に追加して目を通しましょう。

会社が許可している生成AIを使う

この際絶対にやってはいけないことがあります。それは生成AIの持ち込みです。社内にしかないドキュメントを個人アカウントに投入するのは、情報漏洩インシデントに直結します。データポリシーが整えられているエンタープライズ契約を会社がしていることが多いので、必ずそれを使うようにしましょう。そして入社時のオリエンテーションなどでAIに関するリソースは必ず確認しましょう。CircleCIの場合、幸いにもNotebookLM / Claude そして Cursorが使えました。

ClaudeでNotebookLMから得た仮説を検証する

社内資料の確認や粗い把握ができたら、次はClaudeあるいはCursorに移ります。これは実際に手を動かしたり、検索を交えた調査などをするためです。

仮説を立てて学習計画を策定する

一通り資料を読んだら、次は仮説を立てます。Field Engineer なら pre-sales なので、顧客に説明することが多いと思われる部分にフォーカスして学習計画を立てます。開発者なら、アサインされそうなプロジェクトに関連する内容が良いでしょう。

自分の役割と照らし合わせて、優先順位を明確にすることが重要といえます。

手を動かして、振り返る

進む方向が決まったら、自分で手を動かして覚えていきます。

ここで効果的なのが、作業メモやスクリーンショットを Claude のチャットに全部叩き込んで、「今やったことって結局何?」と整理させることです。Step by step でよくわからず作業した内容でも、振り返りをこまめにすることで新しい発見になります。Claude や ChatGPT なら Learning モードが用意されているので、それも積極的に活用しましょう。

AI との適切な距離感

生成 AI との距離感については、「運転席に座るか、助手席に座るか」という議論があります。

オンボーディングや学習に関して言えば、答えは明確です。あなたが運転手であるべきです。

AI は運転のアシストに専念させるべきといえます。具体的には、NotebookLM でのざっくり資料読み込みは、運転ルートやプランの策定フェーズでスマホを使うようなものです。Claude などを使った作業メモと短いサイクルでの振り返りは、運転しながらルートや工程の微調整にあたります。Learning モードでの学習は、シミュレーターや Google Earth を使った脳内シミュレーションに近いでしょう。

いずれにせよ、ポイントは3つあります。まず仮説を立てて行動すること、次に記録を残すこと、そして振り返りをすることです。

これはメタ認知的なアプローチかもしれません。自分の学習プロセスを俯瞰し、継続的に改善していく姿勢が、AI を活用した効率的なオンボーディングの鍵になります。

まとめ

転職直後の情報洪水は誰もが経験するものですが、生成 AI を適切に活用することで、その混乱を最小限に抑えることができます。

重要なのは、AI に全てを委ねるのではなく、自分が主導権を握りながら、AI をアシスタントとして使いこなすことです。NotebookLM で全体像を掴み、Claude で振り返りを行い、常に仮説を立てて行動する。このサイクルを回すことで、入社直後の五里霧中状態から、着実に前進できる状態へと移行できるでしょう。

あなたも次の転職やプロジェクト参加の際には、ぜひこのアプローチを試してみてください。

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Hidetaka Okamoto profile photo

Hidetaka Okamoto

Developer Experience Engineer

Developer Experience Engineer。AWSやCloudflare上へのサーバーレスなアプリ開発を得意とする開発者。元Stripe Developer Advocate / AWS Samurai 2017など、サービスの使い方や活用Tipsを紹介するコンテンツ作成や登壇などを得意とする。

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