WordCamp Kansai 2024を主催してみた感想 – WordCampをやりたいという人に向けて

WordCamp Kansai 2024を主催してみた感想 – WordCampをやりたいという人に向けて

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委員長としての挨拶はサイトの方に書きましたので、こちらはそこに書かなかった話などを。

WordCampってどうやって開催するの?

WordCampの実行委員長は今回で2回目です。1回目は2017年に京都にある京都大学をお借りして開催しました。

https://kyoto.wordcamp.org/2017

実は「WordCampをやりたいと言う」こと自体はそこまで難しいことではありません。WordPressコミュニティのサイトに申し込みフォームがありますので、そこに必要な内容を書いて提出するだけです。

https://make.wordpress.org/community/handbook/wordcamp-organizer/become-an-organizer/organizer-application

ただしフォームを送信するには、「一緒に実行委員として取り組んでくれる人がいる・心当たりがあるか」や「その地域でWordPress meetupなどのコミュニティイベントが開催されているか」といった、WordPressコミュニティとの関わりがある前提の質問に複数回答する必要があります。

まずはWordPress Meetupへ参加しよう

WordCampをはじめとしたコミュニティカンファレンスに参加すると、「地元でもこんなカンファレンスがあればいいのに」と帰り道に思うことが少なくありません。WordCampに関しては、その熱気が冷めないうちに上に紹介した申請フォームを一度開いてみるのもよいでしょう。

ただしもし開催したいと思っている地域に、WordPressに関するコミュニティやイベントがない状態の場合は、まずWordPress Meetupの開催や参加をお勧めしています。

今まで大きなイベントを計画したことがない方は、まず数カ月間 WordPress meetup (勉強会、懇親会など) をやってみるのをおすすめします。これでコミュニティの興味の方向などが分かりますし、地元の WordPress コミュニティで知り合いを作り、リラックスしたイベントの計画ができるようになるでしょう。

https://japan.wordcamp.org/for-organizers/become-an-organizer/

これはWordCampを開催する目的の1つに、「地域のコミュニティ活動を促進すること」があるためです。その地域にいるWordPressのスペシャリストがいるのかいないのか、将来的にロックスターになりそうな人はいないのか。そのような「地元のWordPressコミュニティが今どんな状況か」を理解することは、WordCampを開催するための重要な事前準備です。

実際に、WordCamp運営者向けに公開されているサイトでも、「スピーカーの選出」に関するコンテンツで次のような説明がされています。

WordCamp の目的は、地域 WordPress コミュニティの活動を促進することにあります。スピーカーが全員地域外から来た人たちばかりだったら、ローカルな専門家(または将来的にエキスパートとなりうる人たち)が WordCamp で講演し、人前で話す機会を得ることができません。

https://japan.wordcamp.org/for-organizers/planning-details/speakers/

もし、地元のコミュニティメンバーに「WordCampってどんなことをするの?」と聞かれた場合は、このページに書かれている内容を紹介すると良いでしょう。

どうやってWordCampを企画・準備するかのリソースは潤沢

WordCampというカンファレンスが面白いのは、「運営者向けのリソース」が非常に豊富なことです。他のカンファレンスの企画運営にいくつか参加したこともありますが、「世界レベルで運営者向けハンドブックが公開」されていて、なおかつ「日本語にローカライズされたものも存在する」コミュニティカンファレンスはあまり多くないように感じます。

https://make.wordpress.org/community/handbook/wordcamp-organizer/

fundationが主導して、「全世界のWordCampにスポンサー」する「Global Community Sponsorshipプログラム」も提供されています。

そのため、カンファレンスを開催する上で大きな懸念点になりがちな「スポンサーが集まるかどうか」についても、メンターに共有した予算の何割か(体感では3割から5割)はこのGlobal Community Sponsorsからスポンサードしてもらうことができます。

ライセンスとコミュニティガイドラインについて

WordPressはGPL v2 or laterでライセンスされているOSSです。そのため、多くのプラグインやテーマについても、WordPressコアのソースコードを利用して実装されているために、GPLでライセンスして配布・公開されています。

そしてWordPressコミュニティにおいては、プラグインやテーマなどの「WordPressの派生物を配布する際は、100% GPL(または互換性のあるライセンス)でライセンスすること」を推奨・要請しています。

運営者向けのサイトにも、はじめてWordCampに登壇・スポンサー・運営での参加などを検討されている方向けに、このコミュニティガイドラインについて説明する専用のページが設けられています。

普段ライセンスについてあまり意識することがない方が多いとは思いますが、WordCampに関しては少なくともGPLについて上で紹介している記事などで概要を理解する必要があります。OSSのプロダクトを利用して開発や制作に取り組まれていると、どこかでライセンスについての知識が求められる場面が出てきます。そんな時に備える意味でもぜひソフトウェアライセンス・オープンソースライセンスについて知る機会と捉えてもらえると嬉しいなと思います。

WordCampで大切なこと

これはキーノートでも紹介したことですが、「WordCampは楽しいイベント」です。

WordCamp でいちばん大事なことを言い忘れるところでした。WordCamp は、楽しいです ! あなたと同じくらい WordPress にハマっている人たちと数日ギークな話で盛り上がれるのはただただ最高です。普通じゃないほど頭の切れる人や、とてつもなく感動を受けた人や感動を与えてくれる人、そして優れたミュージシャンにさえも出会えるかもしれません。

https://japan.wordcamp.org/what-is-wordcamp/

カンファレンスを開催した後に起きる悲しい出来事のひとつは「次はもういいかな」と実行委員に参加した人の多くが感じることです。WordCampのハンドブック(英語)にも「燃え尽き症候群に気をつけて」という意図のページが用意されているほどには、定期的に見かける出来事のひとつです。

https://make.wordpress.org/community/handbook/community-deputy/resources-for-community-deputies/identifying-and-avoiding-burnout

もしWordCampを開催してみたいという方は、「参加者だけでなく、実行委員として参加された方も『またやりたいね』と言ってもらえるカンファレンスにするにはなにをすればよいか?」を考えてもらえるとうれしいなと思います。

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Hidetaka Okamoto

Business Development

I'm a Business Development professional at DigitalCube. Based on my experience in EC ASP development and as a Developer Advocate at Stripe, I'm working on methods to increase revenue for SaaS and EC sites, exploring efficiency improvements using generative AI, and developing new business models. You can follow me on Twitter at @hidetaka__dev

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